大工　森下泉の施工例

先の項に引き続き、名古屋市天白区での賃貸マンションの床リフォームをご紹介いたします。

元々は畳敷きの和室空間として造られた部屋を、コルクタイル床材の洋間へと大胆に変身させる床貼り替えリフォームが行なわれました。

更に、玄関から各部屋に続く元々がフローリング仕上げの廊下にも、同じくコルクタイル仕上げの床へと変身させます。

取材で訪れた時点で、すでに廊下のコルク床は完成しており、
汚れやキズなどが付かないように養生されていましたので、その様子は最下段の完成写真で。

ここでは和室の施工を中心にリポートさせて頂きます。

先ずは材料の仮置きから作業は始まります。

用意されたコルクタイル床材は全部で220枚にもなるそう！
その一枚一枚を仮置きして寸法合わせをしてから、本番の床貼りへと移行するので大変な作業ですね。

どんな部屋でもそうだと思いますが様々な材料が使われて建てられ、また経年変化によって水平・垂直等が狂ってきてしまうので、床リフォームではその建物・部屋毎に合わせた材料の微調整がつきものだと森下さんはおっしゃいます。

コルクタイルのように一枚一枚を敷いていく床材はその微調整をしっかりしないと、完成が美しくならないのだそう。

その辺りは大工職人さんの美的感覚も問われてしまうのでプレッシャーが掛かりますね。

床下地も新規で貼られたので真新しい床板の様子が見て取れます。

が、上に床用コルクタイルが貼られてしまうので、実際に住まわれる方が床下地貼りの美しい仕上がりを見ることが出来ないのは残念ですね。

仮置きが終わって正確に切り出し処理されたコルクタイルを一旦取り除き、本番の床貼りへ進みます。

コルクタイルはボンドで接着して貼られるそうですが、もちろんメーカー指定の新品ボンドを使っております。

コルクタイル床材はフローリング板床等と違い釘を一切使わないので少し勝手が違うそうです。

床下地板にしっかり圧着しなければならないのは同じですが、釘を使って施工できないのでボンドの接着力だけに頼る事になります。

そしてボンドの性能を発揮させる為に、先ずは床下地の表面が均一で綺麗なことが重要なのだそうです。

床下地板にボンドを置いた後、先端が山切りカットされたヘラを使って、ボンドを薄く均一に敷き伸ばして行きます。

床下地板にボンドの塗布を終えた様子。

大雑把に広い面積を塗ってしまうのではなく、枚数分だけを塗り広げる事が作業の正確性を確保しているとの事で、この時は床用コルクタイル10枚分が塗られました。

そして塗布後、直ぐにコルクタイル床材を貼っていくのではなく、15分程度の乾燥時間を取りました。

時間をおく理由は、床下地板にボンドを塗った直後はまだ水分が多いのでボンドがコルクに吸い取られ過ぎてしまい、充分な接着力を発揮しないのだそうです！

更に薄いコルクタイルが膨張してしまうので、その当たりの変化に伴うリスクも見逃せないそうです。

コルクタイル床材の施工は手間が掛かりますね！！

時間を置いた後、一枚一枚が丁寧に貼り合わせられました。
この時もただ単に繋ぎ目を合わせて置いていくのではなく、横方向（継ぎ目方向）に圧力を加えながらの作業です。
コルクタイルは薄く柔らかい素材なので、この時に圧力を加えすぎると上方向（天井方向）に盛り上がってボコボコと浮いた仕上がりになってしまうので、微妙な力加減で貼り付ける事が大切だそうです。

10枚全て敷き詰めると10枚の床用コルクタイルを板で囲ってしまいました。
これはボンドの水分を吸い膨張して位置ズレが起きないように配慮した処置です。

上記の床貼り作業工程を繰り返してコルクタイル床材の部屋と廊下が完成しました。

畳敷き和室だった部屋が見事にイメージチェンジされましたね！

凸凹が一つもない均一な床面に森下さんの丁寧な仕事ぶりが伺えます。

目立たない事ですが、コルク床の洋間と廊下との連続性を持たせる為に、床の高さが揃えられています。

これは言葉にすると簡単ですが、タイル床の下に隠れている、根太の設置施工と床下地貼り施工の段階で、全ての材料の厚みを計算して、高さが揃うように工事しなければなりません。

もちろんミリ単位での調整がなされています。

コルク床を歩くのは始めての経験でしたが、クッション性に長けていて実に気持ち良い歩き心地でした。

あまり多く使われる床材ではない分、コルクタイルを施工した経験のある大工さんは少ないのではないでしょうか？

名古屋市近郊でマンション等の床リフォームをお考えで、ちょっと変わった床材にしてみたい方は、床貼り替えの施工経験が豊富な森下さんに御相談をされてみては如何でしょうか。