福岡県大野城市　　床フローリング張り替え工事

異色の転身：プロボクサーから大工の道へ

中村さんが大工職人の世界に足を踏み入れたのは、26歳という、決して早くはない年齢でした。
実はそれまで、中村さんは全く異なる世界で、自身の限界に挑み続けていました。その道のりは、まるで映画のワンシーンのようです。
学生時代、ご実家のある佐賀県唐津市の神集島で、同級生のお父様が営む工務店でアルバイトをしたのが、中村さんと「ものづくり」との最初の出会いでした。
そこで見た職人たちの真剣な眼差し、そして図面上の線が少しずつ現実の立体になっていく過程に、彼は漠然とした憧れを抱いたのかもしれません。
しかし、その後の彼の選択は、周囲を驚かせました。彼はプロボクサーの道を志したのです。25歳までと自身で期限を設け、土木会社や引越し業者でアルバイトをしながら、血のにじむような努力でボクシングに打ち込みました。
念願のプロライセンスも取得し、リングの上で勝利を掴む歓喜も味わいました。しかし、ボクシングは常に怪我と隣り合わせ。幾度となく訪れる肉体的な試練と向き合う中で、中村さんは一つの固い決意を秘めていました。「ボクサーを辞めたら、大工になろう」。
引退後、迷うことなく求人情報誌を手に取り、大工の募集を見つけると、まさにこの世界へ飛び込んだのです。
リングで培った不屈の精神と、目標に向かってひたむきに努力する姿勢は、大工職人としての厳しい修行を乗り越える、強靭な精神的な柱となりました。

独立と進化：注文住宅からフルリフォーム

下積み時代に培った盤石な技術と、お客様の夢を形にしたいという内なる強い思いを胸に、中村さんは満を持して独立を果たしました。
独立当初は、自らの原点ともいえる注文住宅で腕を磨き、その確かな技術力と人柄は着実に広まっていきました。やがて、お客様からの多岐にわたる要望に応える形で、リフォームの仕事も請け負うようになります。

中でも、中村さんが特に得意とし、高い評価を得ているのが「フルリフォーム」です。ただ既存のものを修繕するだけでなく、何もない状態からお客様のライフスタイルに合わせた空間を根本から再構築する技術は、他に類を見ません。さらに、その守備範囲はとどまるところを知らず、近年ではマンションの仕事も数多く手掛けるようになりました。

木造住宅で培ったノウハウを活かしつつ、マンション特有の構造や規約、最新の設備にも精通することで、より多くのお客様の多様なニーズに応えられる体制を築き上げていったのです。「やれることはどんどん増やしていく」。その言葉通り、中村さんは常に新しい技術や知識を貪欲に吸収し、まさに変幻自在に進化を遂げています。現在では年間72件もの仕事をこなし、多忙を極める中村さんの姿は、その技術と信頼がどれほど高く評価されているかを物語ります。

作業工程（2）：グラインダーでフロアステープルを切る

古いフローリング材を剥がすと、その下には床を強固に固定していた無数のフロアステープルが残ります。これらをそのままにしておくと、新しい床材を張る際に大きな障害となり、平滑で美しい仕上がりを妨げてしまいます。
中村さんはここで、特殊な工具であるグラインダーを巧みに使用します。
火花を散らしながら、次々と残されたステープルを正確に切断していく様子は、まさにプロの職人技の真骨頂。
グラインダーの角度や動かし方一つにも、長年の経験からくる最も効率的かつ安全な作業へのこだわりが光っていました。迅速に、かつ確実に作業を進めるための、プロならではの熟練したテクニックが光る瞬間です。

作業工程（4）：作業台で新しい材料を切る

解体作業が終わり、完璧な下地が整えば、いよいよ新しい床材を加工する工程へと移ります。
この日はデモンストレーションでしたが、中村さんは作業台に廃材をセットし、まるで本番さながらに、
丸ノコで寸分の狂いもなく切断していきます。床材の採寸は、文字通りミリ単位で行われ、そのわずか
な誤差が仕上がりの美しさに大きく影響します。

中村さんは、一本一本の木材が持つ独特の木目や特性を見極めながら、最適な位置に線を引き、迷いなく丸ノコを走らせます。木材が切断される際の「シューン」という心地よい音、そして切り口から立ち上る清々しい木の香りが、中村さんの確かな技術と、木材への深い知識を物語っているようでした。

お客様への熱い思いと未来への誓い

中村さんの仕事のモチベーションは、お客様からいただく「ありがとう」の一言に尽きます。
彼は単に建物を建てるだけでなく、お客様の抱える悩みや理想を丁寧に聞き出し、それを具体的なカタチに落とし込みます。
その結果生まれるお客様の最高の笑顔と、心からの感謝の言葉が、中村さんにとっては何物にも代えがたい報酬であり、明日への活力となっているのです。

中村さんは現状に満足することなく、常に未来を見据えています。「品質を守り続けるのはもちろん、技術面以外でも、例えば『こんな新しい材料があるんですよ』といった知識の面も、もっと強くしていきたい」と力強く語ります。
日々進化する建材や工法、デザインのトレンドなど、最新の情報に常にアンテナを張り巡らせ、それを積極的に提案できる知識力も磨いていきたいと考えているのです。

新しい道具や材料が次々と登場する現代において、それらをいち早く取り入れ、お客様のニーズに合わせた最適な選択肢を提供できる「強い組織」を構築したい。それが、マル正工務店が目指す明確
な未来像です。

年間72件もの仕事を精力的にこなす中村さんの技術力と、お客様からの信頼は揺るぎないものです。一件一件の仕事に真摯に向き合い、お客様の期待を常に超える結果を出し続けるからこそ、これだけの依頼が途切れることなく舞い込むのです。

福岡県大野城市に深く根差し、地域のお客様との距離感を何よりも大切にしながら、これまで数多くの「夢の住まい」を手がけてきました。中村さんにとって、大工の仕事は単なる技術的な作業ではなく、お客様の人生に深く寄り添い、幸せを届ける、かけがえのない尊い仕事なのです。

長年の経験で培われた、寸分の狂いもない確かな技術と、お客様一人ひとりの心に寄り添う温かい心。そして、常に新しい知識と技術を貪欲に追求し続ける飽くなき探求心。
こんな職人さんだからこそ、あなたの大切な住まいを、マル正工務店・中村正太郎さんに安心して任せてみてはいかがでしょうか。きっと、あなたの想像を遥かに超える、理想の空間を創造してくれることでしょう。



撮影・記事＝LIBERTY 柊平直樹