こちらは私が長崎県平戸市にて、大工修行の卒業試験を受けた現場のお写真です。
当時中卒の人は5年、高卒の人は4年間親方のもとで修行をする決まりでした。(私は後者の4年の期間)
この試験では私が棟梁として任せられ、墨付けをしてました。
そして手刻み、床の間の階段作成などの「大工として一番肝心な仕事が出来るか?」の審査をしてもらい、ようやっと一人前と認定してもらった思い出があります。懐かしい。
ちなみに「手刻み」というのは、たぶんこの記事を読んでくださってる皆さんが想像されるような、所謂「大工さんの木材加工方法」です。
険しい顔をしてのこぎりで木を切ったり、カンナで表面を削ったり、ノミで木材の端をカンカンしたり(笑)きっとそういうイメージ、ありますよね?
しかし今現在は、実はほとんどの材料が「プレカット」といって、あらかじめ機械で加工してあるものが多いんです。
確かに便利にはなりましたが目的に合わせて職人の腕で加工していくことは、建物にとってすごくメリットが多いんですよ。
木材それぞれの曲がり具合、歪み等を確認し、より頑丈な構造体を組み上げることができるからです。
この木材をどう使おう?どう働いてもらおうかな?どんな継ぎ手や仕口に加工しよう?
大工という仕事上、こういった「木」との対話はとても大事であると私は考えています。
私がこのような心境になれるための「修業の最終確認だったのかな?」って、今にしてみればしみじみ感じ入ります。